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健康診断の結果は、どう見ればいい? 20~30代の女性がチェックすべきポイントを医師が解説!

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会社や自治体から案内を受け、年に1回ペースで受診する「健康診断」。結果を受け取ったものの、見方が分からず放置していませんか? 検査結果の見方が分かれば、より健康づくりに活かせるはず。そこで、健康管理のプロ・津下一代さんに、20~30代の女性がとくに見るべき検査項目や、結果を見るときのポイントを教えていただきます。

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コラムサマリ

★この記事は6分で読めます。

・健康診断の結果は個別の数値とともに、経年変化を確認することが大切。

・数値が変化した背景や理由を探り、対策を実行することが重要です。

本文

健康診断は、自分の身体の状態を知る貴重なチャンス

健康診断は自分の健康状態を把握したり、身体からの危険信号をキャッチしたりするためのもの。健康診断を通じて身体をモニタリングすることで、病気の早期発見だけでなく、生活習慣病のような自覚症状のない病気を予防することにもつながります。また、検査結果から自身の生活習慣のよかった点、見直すべき点が見えてくることも。若いから、何も不調がないからと後回しにせず、定期的に受診して自分の身体と向き合う機会を持ちましょう。

若い女性がとくにチェックすべき検査項目は「ヘモグロビン」と「BMI」の2つ!

健康診断の結果は、「健康の通信簿」のようなもの。検査項目はそれぞれに意味があり、すべてに目を通す必要がありますが、20~30代の女性がとくに意識してチェックしたい項目は以下の2つになります。

1.血色素(Hb)(ヘモグロビン)

赤血球に含まれるたんぱく質の一種。ヘモグロビンの数値が12 g/dLを切ると、鉄欠乏症貧血などが疑われます。貧血は女性に多いトラブルであり、日本人女性の10人に1人は貧血といわれています(※)。貧血を招く要因として、妊娠・出産、月経による出血などが挙げられますが、若い女性に多くみられる過度なダイエットや偏食なども貧血を助長しているといえます。

さらに、20代後半から子宮内膜症や子宮筋腫の発症リスクが高まるため、昨年のデータと比較して数値が大幅に下がっている場合は、こうした婦人科系の病気によって体内で出血が起きている可能性も。貧血の陰に、婦人科の病気をはじめ、さまざまな病気が潜んでいることも少なくないので、とくに意識的に見てほしいポイントといえます。

※ 「令和元年 国民健康・栄養調査報告,第24表の1, 3」(厚生労働省)参照。

2.BMI 

身長に見合った体重かどうかを判定する値。体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)で算出します。日本肥満学会が定めた基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」に分類され、BMIが22になるときの体重が標準体重となり、最も病気になりにくい状態であるとされています。BMIが大きくなると、脂質や血糖、血圧の異常につながることはよく知られていますが、BMIが大きすぎても小さすぎても、月経異常、不妊、妊娠・分娩異常などのリスクが上昇することに注意が必要です。


身長160㎝の場合:痩せ  47.36㎏未満/普通  47.36~64.0㎏/肥満(BMI25~35) 64~89.6㎏/高度肥満(BMI35以上) 89.6.㎏~(日本肥満学会肥満症診療ガイドライン2022準拠)。

若い女性は、極端に食事を減らすようなダイエットにより、BMIが大きく増減している人が多いので、チェックしてほしいところ。そもそもBMIの変動が大きいということは、急激なダイエットとリバウンドを繰り返し、体に負担をかけているということ。たとえば、1年前はBMIが20だった女性が、今年はBMI 24だったとします。基準範囲内なので問題ないと思うかもしれませんが、実際には体重が約10kgも増えているのです。これだけの体重増加により、健康に何らかの悪影響を及ぼしていると考えられます。数値が過去からどのように推移しているか、チェックしましょう。一方、BMIが普通の範囲内なのに、過度なダイエットに取り組む人が多いのも事実。1~2kgの変動範囲内でおおよそ安定していればGood!です。

結果を見るときのポイントは、検査数値の「経年変化」を見ること

判定区分(※)だけ見て、数値までは見ないという人も多いのでは? しかし、たとえすべての項目が「異常なし」の判定だったとしても、昨年と比較して大きな増減があったり、年々数値が悪い方へ動いている場合は要注意。そのままの生活を続けていると、将来的には病気になる可能性も考えられます。健康診断を意味あるものにするためにも、各検査項目の数値の推移をチェックして、自分の体の変化を確認しましょう。

おすすめはエクセルなどで、毎年の数値をグラフにしておくこと。グラフが若干上下に揺れていたとしても、ほぼ安定して推移していれば問題ないのですが、徐々に上昇したり低下したりしている場合は、体の状態が悪くなっているかもしれません。どのような病気が疑われるかを調べ、数値改善のためのセルフケアを実行したり、不安な点があれば健診機関に相談しましょう。

※ 個人の検査値が基準範囲からどの程度はずれているかを判定しているもの。検査機関・検査方法によって異なるが、日本人間ドック学会では、A~Eの5段階で判定している。

健康づくりの基本は、栄養バランスのよい食事、運動習慣、適切体重をキープすることにあり!

検査結果を受け、昨年よりも大幅に体重が増えた、ある検査値の数値が大幅に変化したなど、気になる結果が出た場合は生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。とくに、意識してほしいのは運動習慣を身につけること。20~30代の女性は、仕事、転職、結婚、妊娠・出産、子育てとライフイベントが目白押しで、運動にまで手が回らないという人も多いかもしれません。しかし運動不足のまま年齢を重ねると、いずれは健診結果にその影響が顕著に表れてくるものです。

運動がもたらす健康効果はさまざまですが、身体活動量を増やすと、血糖値や脂質、血圧が改善し、生活習慣病をはじめとした病気の予防につながることが分かっています。そのほか足腰が鍛えられるので、転倒や骨折のリスクや要介護のリスクを減らすこともできます。高齢期を楽しく健康に過ごすための側面だけでなく、運動をすることで筋肉量が増えるため、疲れにくくなる、冷えや腰痛、肩こりの改善も期待されるなど、若い世代を悩ます不調のケアにもつながりますよ。

では、運動はどのぐらいの頻度・強度で行うとよいのでしょうか。「運動習慣あり」とは、1回30分以上の運動を、週2回実施している人のことを指しますが、まずは週60分からでも構いません。軽いジョギングや筋トレといった息がはずみ、汗をかく程度の運動を始めましょう。楽しく継続して行うことができる運動を見つけて、習慣化されることをおすすめします。

20~30代の女性は、健康への不安が少ない世代なのではないでしょうか。そのため、健康診断の必要性をあまり感じないかもしれませんが、長く健康でいるためにも、年に1回、自分の身体と向き合う機会にしてください。同時に健康診断は結果を振り返ったり、生活習慣の改善につなげてこそ、受けた意義があります。ご自身の体の状態を正しく把握し、日々の健康管理に役立ててくださいね。

この記事の執筆協力

執筆者名

女子栄養大学特任教授

津下一代さん

執筆者プロフィール

名古屋大学医学部医学科卒業。国立名古屋病院、愛知県総合保健センターなどを経て、2011年よりあいち健康の森健康科学総合センターセンター長。2020年より現職。厚生労働省健康日本21(第二次)推進専門委員会委員、特定健診・保健指導の検討会などを務める。日本肥満学会理事、日本人間ドック学会理事、日本臨床スポーツ医学会理事、日本臨床運動療法学会理事、日本肥満症予防協会理事。

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