株式会社 中央保険事務所

  • 火災

コラムタイトル

「地震保険」とは? 火災保険とセットで加入したい理由を知っておこう

リード

世界有数の地震大国である日本。小さいものも含めれば、ほぼ毎日どこかで地震が起きています。南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震も遠くない将来に高い確率で起こるとされています。地震への備えは多くの人が気にかけていることと思いますが、中でも重要な手段となる地震保険について、改めて考えておきましょう。

    • 火災
コラムサマリ

★この記事は約5分で読めます。

  • 地震による建物や家財の損害を補償するには、火災保険に地震保険を付帯する必要がある。
  • まずは自分に合った火災保険を選び、地震保険を付帯するのが一般的な加入方法。
  • 被災後、いち早く元の生活水準に戻るためにも地震保険に加入しておくと安心。

※ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。ご不明な点等がある場合には、お問い合せください。
※取り扱い保険会社及び保険商品について、ご不明な点等がある場合には、お問い合せください。
※文中に記載の保険商品、サービスの名称及び内容は保険会社によって異なる場合がございます。

本文

火災保険と地震保険の関係とは?

火災保険とはその名の通り、火災で建物や家財に損害が発生した際に、補償をしてくれる保険です。商品やオプション内容にもよりますが、火災以外の自然災害や盗難などといったものによる損害も補償対象となります。

しかし、地震や噴火、それに起因する津波による被害は補償対象となっていません。一部の火災保険では、「地震火災費用保険金」などという名目で保険金額の5%程度が支払われるものもありますが、これは地震保険ではありません。このため、地震や噴火の被害に保険で備えるためには、地震保険に加入する必要があります。

基本的に、地震保険は単体では加入できず、火災保険とセットで契約する必要があります。加入している火災保険に、途中から地震保険を付帯することもできます。火災保険は保険会社によって補償内容に違いがありますが、地震保険は補償や保険料に各社の違いはありません。

これは、地震による損害は被災地全体で見て多大なものとなることが想定されることから、国が積極的に関与しているためです。このため、地震保険を契約する際には、内容が自分に合っている火災保険をまず選び、そのあと地震保険も付けるかどうかを判断することになります。

地震保険の特徴

地震保険は、居住用の建物と家財にしかかけることができません。事業用資産や車は対象外となります。保険金額は火災保険の支払限度額の30〜50%の範囲内となりますが、金額による上限もあります。建物では5,000万円、家財では1,000万円までが上限となっています。

また、支払われる保険金は、実際にかかった修理費ではありません。損害の程度に応じて、保険金額に一定の割合をかけた分が支払われます。

損害の程度は、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」にわけられます。建物の場合、主要構造部に時価の50%以上の損害を受けた場合などは全損となります。その場合、時価を限度として地震保険金額の100%を受け取ることができます。逆に、建物の主要構造部に受けた損害が時価の3%以上20%未満だった場合には一部損となり、地震保険金額の5%のみが支払われます(時価の5%を上限とする)。

損害の程度

支払われる保険金の額

全損

地震保険金額の全額(時価を限度とする)

大半損

地震保険金額の60%(時価の60%を限度とする)

小半損

地震保険金額の30%(時価の30%を限度とする)

一部損

地震保険金額の5%(時価の5%を限度とする)

 

地震保険に期待できること

では、実際に地震の被害に遭うと、損害はどれくらいになるのでしょうか。

東日本大震災を例にとると、住宅が全壊した人の新築再建費用は平均で約2,500万円にのぼったといいます。一方で、公的支援や義援金で受け取ることができたのは約400万円です。住宅の再建だけで、およそ2,100万円の不足となっていました。

もちろんこれは平均額で、住宅ローンがまだ残っていた住宅を失った場合には、新築分の家のローンも合わせると、二重の住宅ローンを抱えることになります。その経済負担は非常に大きいものになるでしょう。また、住宅が被害を受けた際には、当然多くの家財も被害を受けているはずです。その修理や購入の費用も、多くの場合数十万円単位で必要となってきます。これらの資金を前もって準備できている家庭はほとんどなかったかもしれません。地震によるこのような想定外の多額の損害や出費を、部分的にでもカバーしてくれるのが地震保険なのです。

残念ながら、地震前の生活を完全に取り戻すには、地震保険は十分な額とはならないかもしれません。全損の場合には地震保険の保険金額の全額を受け取れるとはいうものの、もともとの保険金額が火災保険の契約額の50%以下となっています。しかしそれでも、当面の急場をしのぎ、完全ではなくても一定程度の生活を送るためには、非常に助かるお金となることも間違いありません。

地震はいつ起こるかわからないからこそ備えが重要

地震保険の保険料は、火災保険などと比べても安いものではありません。このため、地震保険の加入をためらう人も多いと思います。しかし、大地震は明日起こるかもしれません。

そのもしもの時に、今の自分の貯蓄などで生活の再建がどの程度可能か、改めて考えなおしてみることをお薦めします。生活再建が相当に難しくなりそうだと考えるなら、地震保険料が多少高くても検討する価値はあります。将来の地震への備えとなることに加え、ご自身や家族が安心して日々過ごせるようになることも、地震保険に入るメリットのひとつでしょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

北垣 愛

執筆者プロフィール

国内外の金融機関で、金融マーケットに直接携わる仕事を長く経験。現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、主に金融に関する情報発信も行っている。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、FP一級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級

募集文書管理番号
0216-29A1-B21143-202202

関連コラム

  • 火災

    地震保険に家財補償は必要? その特徴と独自の補償額も確認

    地震大国と言われる日本では、マイホームの地震保険加入は欠かせません。この地震保険は建物だけでなく、家財にも契約することができますが、その補償額は、火災保険とは異なり、実際の損害額の全額を補償するものではありません。そこで、気になる地震保険の家財補償の特徴と、その補償割合の算定について確認してみましょう。大切なマイホームを守るための保険ですので、きちんと理解して加入を検討しましょう。

  • 火災

    マイホームの火災保険で悩む「家財補償」。300万円で足りる?いくらかければいいの?

    マイホームの万一に備える火災保険は、対象を「建物」と建物内にある「家財」に分けて補償を考えます。「建物」については当然に契約するものの、「家財」については補償額をどうするか、そもそも契約すべきかについて悩むケースがあるかと思います。「家財」の補償範囲や補償金額の設定について、結婚や出産で家族が増えたときを想定し、安心できる補償の考え方を解説します。また、よく言われる300万円の補償金額設定の真偽についても検証してみましょう。